【ニュースリリース】新型コロナウイルス変異株レプリコン(次世代mRNA)ワクチン追加接種治験で5mC修飾により低用量・高免疫原性・良好な安全性を確認[iScience論文]

VLP Therapeutics Japan(VLPセラピューティクス・ジャパン、東京都港区、代表取締役:赤畑渉、以下「VLPTジャパン」)と医薬基盤・健康・栄養研究所の研究グループは、VLPTジャパン開発の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)変異株に対するレプリコン1(次世代mRNA)ワクチン(VLPCOV-02)追加接種第1/2相臨床試験(治験)パート2(第2相試験パート)で、VLPCOV-02が国内既承認のmRNAワクチンと比べて10分の1の用量で同程度の免疫効果を誘導し、良好な安全性を示すことを確認しました。

本試験結果は、米科学誌 Cell の姉妹誌 iScience 電子版に、米国東部時間1月21日付けで掲載されました。本研究は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)ワクチン開発推進事業「自己増殖RNAテクノロジーを用いたわが国における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチン開発」の一環として行われました。

VLPTジャパンは、これまでの研究2及び本試験結果に基づき、オミクロン株対応1価ワクチンの3µgの用量を用いた第3相臨床試験を実施中です。今後の定期接種を見据え、VLPTジャパンは既存mRNAワクチンより低用量での効果と免疫持続性があり、大量・短期製造できる安全な国産ワクチン製造販売の承認申請を目指します。

研究の背景・概要

パンデミックから数年が経過した今も、新型コロナウイルスは依然として変異を繰り返しています。今後も継続的なワクチン接種が必要とされる中で、「より体への負担が少なく、かつ長期にわたって効果が持続する」ワクチンの開発が求められてきました。

 本研究チームは、既承認ワクチン接種歴を有する日本国内の成人を対象に、VLPCOV-02の複数用量と試験実施当時の既承認ワクチン(2価:起源株/オミクロン株BA.4-5、30 μg)を比較し、VLPCOV-02の最適な投与量と安全性を検討しました。

研究の成果

  • 最適な用量の特定:試験の結果、3µgという少量の投与が、安全性と効果のバランスにおいて最適であることを確認しました。これは、対照薬とした国内既承認mRNAワクチンの10分の1の用量に相当します。
  • 安全性(副反応)の改善:独自の塩基修飾技術5mC(5-メチルシトシン)を用いることで、これまでのレプリコンワクチンで課題となっていた炎症反応を抑制することを本試験のパート1(第1相試験パート)で確認していましたが、対照薬と比較する多数例でのパート2でその安全性が再確認されました。従来のワクチンと比較して、身体的な負担の少ない接種となる可能性が示されました。
  • 強固な免疫原性:VLPCOV-02は、ワクチンの抗原が、ブラジル(ガンマ)株由来の受容体結合部位(RBD)であるにもかかわらず、オミクロン株5を含む複数のCOVID-19変異株に対する中和抗体価を示し、抗体応答は最大52週まで持続しました。さらに、VLPCOV-02は、抗原に対するT細胞(CD4+及びCD8+ T細胞)免疫の誘導がみられ、液性免疫(抗体応答)のみならず細胞性免疫(ウイルス感染細胞を直接攻撃するT細胞の活性化)の誘導が確認されました。

コメント:VLPTジャパン 代表取締役 赤畑渉

「本試験では、医薬基盤・健康・栄養研究所の先生方と協力し、5mC塩基修飾の導入によって免疫原性を維持したまま副反応(ワクチン接種後の局所及び全身性の反応)を抑制できる可能性を臨床的に示しました。これは、低用量・高い免疫効果・副反応の少なさという特長を併せ持つ次世代RNAワクチンの実用化に向けた重要な一歩であると考えています。また、低用量で効果を発揮するワクチンは、短期間での大量製造、医療資源が限られた地域への供給拡大にもつながります。この5mC修飾レプリコンは、COVID-19に限らず新たなパンデミックが起こった場合に迅速に対応できるプラットフォーム技術として、今後の世界公衆衛生に寄与することを期待しています」

論文情報

  • 論文名:Safety, immunogenicity, and optimal dosing of VLPCOV-02, a SARS-CoV-2 saRNA vaccine with modified 5-methylcytosine base
  • 雑誌名:iScience
  • 著者:Masayuki Aboshi, Daisuke Kawakami, Kaoru Kono, Ayae Nishiyama, Takuto Nogimori, Yuko Sunada, Kenta Matsuda, Takashi Sekida, Shigeru Suga, Jonathan F. Smith, Nobuaki Sato, Takuya Yamamoto, Wataru Akahata*(*責任著者)
  • DOI:10.1016/j.isci.2026.114766
  • URL: https://www.cell.com/iscience/fulltext/S2589-0042(26)00141-0
  • 公開日:2026/1/21

用語説明・関連リンク

  1. レプリコン(次世代mRNA):少量の接種で十分な抗体が作られる、次世代型ワクチンの基盤技術。現行のmRNAワクチン技術と比べて10~100分の1程度の接種量となることから、同じ量のmRNAで比較した場合は多くの接種回数分のmRNAの製造が可能となることと、副反応が低減されることが期待される。
  2. 論文発表した研究成果・治験結果:
    • 2025/11/13 ニュースリリース:レプリコン(次世代mRNA)ワクチンの副反応を軽減する新技術を開発:5-メチルシチジン修飾で自然免疫応答を制御し、安全性の向上に寄与[Science Translational Medicine論文]
    • 2024/1/23 ニュースリリース:新型コロナウイルス変異株レプリコン(次世代mRNA)ワクチン追加接種第1/2相臨床試験で安全性と有効性の改善を確認[iScience論文]
    • 2023/8/16 ニュースリリース:新型コロナウイルス感染症レプリコン(次世代mRNA)ワクチン追加接種第1相臨床試験で低用量での高い抗原性と抗体価の持続性を確認:今後の追加接種に使える国産ワクチンの基盤技術として期待[Cell Reports Medicine 論文]
    • 2023/5/19 ニュースリリース:細胞膜表面にRBDを発現するレプリコン(次世代mRNA)ワクチンで新型コロナウイルス感染症(COVID-19)変異株に広範・持続的な免疫の誘導に成功:他のパンデミック病原性ウイルスに対する基盤技術としての応用にも期待[Nature Communications 論文]

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VLPセラピューティクス・ジャパンについて

VLP Therapeutics Japan株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:赤畑渉)は2020年、米国VLPセラピューティクスの100%子会社(当時)として設立されました。2024年現在、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)*1、AMED先進的研究開発戦略センター(SCARDA)*2 及び厚生労働省*3 の支援により、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)等に対するワクチンを、VLPセラピューティクス保有の自己増殖RNA(レプリコン)技術を用いて研究・開発中です。

  1. AMED事業名:令和2年度「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチン開発」(2次公募)/課題名「自己増殖RNAテクノロジーを用いたわが国における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチン開発」
    https://www.amed.go.jp/koubo/11/02/1102C_00002.html
  2. AMED SCARDA事業名:令和5年度 「ワクチン・新規モダリティ研究開発事業(一般公募)」/課題名「レプリコンプラットフォームテクノロジーを用いた今後出現する株を含めたユニバーサルコロナワクチン開発」
    https://www.amed.go.jp/koubo/21/02/2102C_00004.html
  3. 厚生労働省:ワクチン生産体制等緊急整備事業(第2次公募)採択結果
    https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_20482.html
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VLPセラピューティクスについて

VLP Therapeutics, Inc.(本社:米国メリーランド州ゲイサーズバーグ、CEO:赤畑渉)は2013年、世界の「満たされていないメディカル・ニーズ」に応え、従来のワクチン療法を一変する革新的な治療法を開発するため、赤畑渉が上野隆司博士、久能祐子博士らと設立しました。2024年現在、がんに対する治療ワクチンと、マラリア、デング熱、インフルエンザ等感染症に対する予防ワクチンの研究開発を進めています。

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赤畑渉(あかはたわたる)について

1997年、東京大学教養学部卒業、京都大学人間・環境学研究科入学。京都大学ウイルス研究所の速水正憲教授のもとHIVワクチンの研究開発に携わり、2002年に博士号取得。同年~2012年、米国立衛生研究所(NIH)ワクチン研究センター勤務。2009年からウイルス様粒子(VLP)を使ったチクングンヤ熱ワクチンを開発。2010年、同ワクチン研究成果を米科学誌Nature Medicineで報告、VLPが表紙を飾る*1。2012年、同ワクチン他3種類のアルファウイルスワクチン開発でNIH最高賞Director’s Award受賞。現在、VLP Therapeutics, Inc. CEO・創業者、VLP Therapeutics Japan株式会社 代表取締役・創業者・最高研究開発責任者、東京工科大学 客員教授、京都大学医学研究科 特任准教授、株式会社フェニクシー スペシャルフェロー。

  1. Wataru Akahata et al. A virus-like particle vaccine for epidemic Chikungunya virus protects nonhuman primates against infection. Nature Medicine 16, 334–338 (2010)
    https://www.nature.com/articles/nm.2105