【ニュースリリース】VLPセラピューティクス・グループ、資金調達を実施:がん・感染症ワクチンの開発加速と治験薬ワクチン製造拠点の整備に向けて

2023年8月2日|VLP Therapeutics Japan株式会社

がんの治療ワクチンやマラリア、デング熱等感染症の予防ワクチンを研究開発するVLP Therapeutics, Inc.(本社:米国メリーランド州、CEO:赤畑渉、以下「VLPT」)と新型コロナウイルス感染症(COVID-19 )、インフルエンザ及びデング熱等のワクチンを研究開発するVLP Therapeutics Japan株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:赤畑渉、以下「VLPTジャパン」)は、東洋インキSCホールディングス株式会社、双日株式会社、株式会社ワイエムシィ及び一般財団法人阪大微生物病研究会を引受先1とする第三者割当増資による資金調達を実施しました。

本資金は、米国で進めているがん治療ワクチン及びマラリア、デング熱等の感染症領域の予防ワクチン研究開発の加速、福岡県久留米市で2024~25年の稼働開始を目指している治験用ワクチン製造拠点の整備2等に用いられます。

◆ コメント:赤畑渉 VLPT共同創業者・CEO、VLPTジャパン創業者・代表取締役

「Vaccines without borders(ワクチンに国境なし)の考えはVLPT創業当時から変わらず、また米日で増えたVLPTメンバー全員が同じ思いで、日々の研究開発・管理運営に取り組んでいます。私たちが培ってきた2つの基盤技術3は、がんやマラリア、デング熱、インフルエンザ、そして変異を続ける新型コロナウイルス感染症のワクチン開発に有効である手応えを掴みつつあり、治験や論文で成果が出ているものもあります4。これらは全て、今回のような支援や、大勢の方の協力・応援があればこそです。安全で効果が高く、免疫が長く持続するワクチンを、1日でも早く、1人でも多くの人に届けられるよう尽力する決意です」

◆ 出資者コメント:髙島悟 東洋インキSCホールディングス 代表取締役社長

「東洋インキグループは、VLPT社の『世界の満たされていないメディカル・ニーズに応える』という理念に共感し、様々な事業運営サポートを通じてその実現に少しでもお役に立てればと考えています。一方で当グループでは、バイオ関連事業の開発において『すべての患者とその家族に希望を。』を掲げ、Sciforiem®というブランド立ち上げ、社会課題の解決に向け活動しています。VLPT社が保有する世界最先端の技術と、当グループが保有する歴史ある素材技術が、世界の人々の豊かさに貢献すると信じています。」

◆ 出資者コメント:藤本昌義 双日株式会社 代表取締役社長 CEO

「VLPTグループは、がん治療や、マラリア、デング熱、新型コロナ、インフルエンザなどの感染症予防のための革新的ワクチン開発を通じ、世界中の多くの人々の健康・福祉の改善、医療・ライフサイエンスの発展に大きな貢献をしていくものと確信しています。双日はVLPTへの過去2回の出資や事業運営サポートを通じて、数多くのワクチン開発実績と高い志を持つ赤畑社長やVLPTグループメンバーの研究開発をご支援させていただいております。今回のVLPTジャパンへの出資を通じて、福岡県久留米市における治験用ワクチン製造拠点を設立し、ワクチンの実用化に、より一層貢献して参ります。」

◆ 出資者コメント:栗山尚浩 ワイエムシィ 代表取締役社長 

「ワイエムシィは物質の高純度化に必須なクロマトグラフィーの製品開発や分離精製技術サービスの提供に1980年の創業から一貫して取り組んできました。近年、特にコロナ禍において世界中に広まったmRNAワクチンやウイルス薬といった先端医療に関連した物質の分離精製ニーズが急速に高まっており、ワイエムシィもその技術開発に日々取り組んでいます。VLPTが取り組む新しいワクチン開発や生産にも分離精製は必須であり、ワイエムシィはVLPTとの共同研究を通じて、新しいクロマトグラフィー技術を提供することにより全力でサポートしてまいります。」

◆ 出資者コメント:米田悦啓 阪大微生物病研究会 理事長

「当会は、約90年前に、大阪大学発ベンチャーと言える組織として設立されたワクチンメーカーですが、『優れたワクチンを通じて世界中の人々の大切な命を守る』をミッションとして掲げており、創薬ベンチャーとして設立され『世界の満たされていないメディカル・ニーズに応える』ことを目指すVLPT社と多くの共通点があります。今回の出資を通じて、新たなワクチンの開発が促進され、世界中の多くの人々の命を守る未来が実現することを期待しています。」

<注釈>

  1. 既存投資家:双日|新規投資家:東洋インキSCホールディングス、ワイエムシィ、阪大微生物病研究会
  2. 2023/5/22 ニュースリリース「経済産業省ワクチン生産体制強化のためのバイオ医薬品製造拠点等整備事業費補助金の交付決定について
  3. VLP技術:VLP(ウイルス様粒子/Virus-Like Particlesの略)は感染性のある遺伝物質を含まないウイルス粒子で、ワクチンとして使用するとウイルスに由来する副反応を引き起こすことなく、強い免疫反応を誘発できます。|レプリコン(次世代mRNA)技術:レプリコンワクチンは、少量の接種で十分な抗体が作られる、自己増殖型のmRNAワクチンです。現行のmRNAワクチンと比べて10~100分の1程度の接種量となることから、短期間で日本全人口分の製造が可能となることと、副反応が低減されることが期待されます。
  4. 2023/5/19 ニュースリリース「細胞膜表面にRBDを発現するレプリコン(次世代mRNA)ワクチンで新型コロナウイルス感染症(COVID-19)変異株に広範・持続的な免疫の誘導に成功:他のパンデミック病原性ウイルスに対する基盤技術としての応用にも期待[Nature Communications 論文]

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関連リンク・報道

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VLPセラピューティクス・ジャパンについて

VLP Therapeutics Japan株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:赤畑渉)は2020年、米国VLPセラピューティクスの100%子会社(当時)として設立されました。2024年現在、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)*1、AMED先進的研究開発戦略センター(SCARDA)*2 及び厚生労働省*3 の支援により、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)等に対するワクチンを、VLPセラピューティクス保有の自己増殖RNA(レプリコン)技術を用いて研究・開発中です。

  1. AMED事業名:令和2年度「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチン開発」(2次公募)/課題名「自己増殖RNAテクノロジーを用いたわが国における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチン開発」
    https://www.amed.go.jp/koubo/11/02/1102C_00002.html
  2. AMED SCARDA事業名:令和5年度 「ワクチン・新規モダリティ研究開発事業(一般公募)」/課題名「レプリコンプラットフォームテクノロジーを用いた今後出現する株を含めたユニバーサルコロナワクチン開発」
    https://www.amed.go.jp/koubo/21/02/2102C_00004.html
  3. 厚生労働省:ワクチン生産体制等緊急整備事業(第2次公募)採択結果
    https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_20482.html
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VLPセラピューティクスについて

VLP Therapeutics, Inc.(本社:米国メリーランド州ゲイサーズバーグ、CEO:赤畑渉)は2013年、世界の「満たされていないメディカル・ニーズ」に応え、従来のワクチン療法を一変する革新的な治療法を開発するため、赤畑渉が上野隆司博士、久能祐子博士らと設立しました。2024年現在、がんに対する治療ワクチンと、マラリア、デング熱、インフルエンザ等感染症に対する予防ワクチンの研究開発を進めています。

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赤畑渉(あかはたわたる)について

1997年、東京大学教養学部卒業、京都大学人間・環境学研究科入学。京都大学ウイルス研究所の速水正憲教授のもとHIVワクチンの研究開発に携わり、2002年に博士号取得。同年~2012年、米国立衛生研究所(NIH)ワクチン研究センター勤務。2009年からウイルス様粒子(VLP)を使ったチクングンヤ熱ワクチンを開発。2010年、同ワクチン研究成果を米科学誌Nature Medicineで報告、VLPが表紙を飾る*1。2012年、同ワクチン他3種類のアルファウイルスワクチン開発でNIH最高賞Director’s Award受賞。現在、VLP Therapeutics, Inc. CEO・創業者、VLP Therapeutics Japan株式会社 代表取締役・創業者・最高研究開発責任者、東京工科大学 客員教授、京都大学医学研究科 特任准教授、株式会社フェニクシー スペシャルフェロー。

  1. Wataru Akahata et al. A virus-like particle vaccine for epidemic Chikungunya virus protects nonhuman primates against infection. Nature Medicine 16, 334–338 (2010)
    https://www.nature.com/articles/nm.2105