【ニュースリリース】新型コロナウイルス感染症レプリコン(次世代mRNA)ワクチン追加接種第1相臨床試験で低用量での高い抗原性と抗体価の持続性を確認:今後の追加接種に使える国産ワクチンの基盤技術として期待[Cell Reports Medicine 論文]

2023年8月16日|VLP Therapeutics Japan株式会社

ポイント

  • 膜アンカー型受容体結合ドメイン(RBD)を発現する新型コロナウイルス感染症レプリコンワクチンを開発し、追加免疫第1相臨床試験を行った。
  • IgG抗体産生、T細胞反応が増強されることを確認した。
  • 誘導された抗体価が長期に渡って持続した。

VLP Therapeutics Japan(東京都港区、代表取締役:赤畑渉、以下「VLPTジャパン」)、医薬基盤・健康・栄養研究所、国立病院機構名古屋医療センター、北海道大学大学院医学研究院等の研究グループは、VLPTジャパン開発の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するレプリコン(次世代mRNA)ワクチン(VLPCOV-01)追加接種第1相臨床試験で、VLPCOV-01がBNT162b2(ファイザー製mRNAワクチン)と比較して、同程度の安全性(副反応)と、10~100分の1の用量(BNT162b2は30µg、VLPCOV-01は3/1/0.3µg)で同程度以上の抗体価と持続性がある(半年後でも同程度以上の抗体価を維持する)ことを示しました。免疫は、試験した全ての株(起源株、デルタ株、オミクロン株)に対して誘導されました。本レプリコン基盤技術は、今後の追加接種に使える日本国産ワクチンの開発と大量・短期製造に寄与することが期待されます。本成果は、米科学誌Cell Reports Medicine電子版に米国東部時間8月15日付けで掲載されました。本研究は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)ワクチン開発推進事業「自己増殖RNAテクノロジーを用いたわが国における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチン開発」の一環として行われました。【ニュースリリース全文:PDF

論文情報

  • 論文名:Safety and immunogenicity of SARS-CoV-2 self-amplifying RNA vaccine expressing anchored RBD: a randomised, observer-blind, phase 1 study
  • 雑誌名:Cell Reports Medicine
  • 著者:Wataru Akahata*, Takashi Sekida, Takuto Nogimori, Hirotaka Ode, Tomokazu Tamura, Kaoru Kono, Yoko Kazami, Ayaka Washizaki, Yuji Masuta, Rigel Suzuki, Kenta Matsuda, Mai Komori, Amber Morey, Keiko Ishimoto, Misako Nakata, Tomoko Hasunuma, Takasuke Fukuhara, Yasumasa Iwatani, Takuya Yamamoto, Jonathan F Smith, and Nobuaki Sato(*責任著者)
  • DOI: 10.1016/j.xcrm.2023.101134
  • URL: https://doi.org/10.1016/j.xcrm.2023.101134

関連リンク・報道

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VLPセラピューティクス・ジャパンについて

VLP Therapeutics Japan株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:赤畑渉)は2020年、米国VLPセラピューティクスの100%子会社(当時)として設立されました。2024年現在、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)*1、AMED先進的研究開発戦略センター(SCARDA)*2 及び厚生労働省*3 の支援により、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)等に対するワクチンを、VLPセラピューティクス保有の自己増殖RNA(レプリコン)技術を用いて研究・開発中です。

  1. AMED事業名:令和2年度「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチン開発」(2次公募)/課題名「自己増殖RNAテクノロジーを用いたわが国における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチン開発」
    https://www.amed.go.jp/koubo/11/02/1102C_00002.html
  2. AMED SCARDA事業名:令和5年度 「ワクチン・新規モダリティ研究開発事業(一般公募)」/課題名「レプリコンプラットフォームテクノロジーを用いた今後出現する株を含めたユニバーサルコロナワクチン開発」
    https://www.amed.go.jp/koubo/21/02/2102C_00004.html
  3. 厚生労働省:ワクチン生産体制等緊急整備事業(第2次公募)採択結果
    https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_20482.html
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VLPセラピューティクスについて

VLP Therapeutics, Inc.(本社:米国メリーランド州ゲイサーズバーグ、CEO:赤畑渉)は2013年、世界の「満たされていないメディカル・ニーズ」に応え、従来のワクチン療法を一変する革新的な治療法を開発するため、赤畑渉が上野隆司博士、久能祐子博士らと設立しました。2024年現在、がんに対する治療ワクチンと、マラリア、デング熱、インフルエンザ等感染症に対する予防ワクチンの研究開発を進めています。

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赤畑渉(あかはたわたる)について

1997年、東京大学教養学部卒業、京都大学人間・環境学研究科入学。京都大学ウイルス研究所の速水正憲教授のもとHIVワクチンの研究開発に携わり、2002年に博士号取得。同年~2012年、米国立衛生研究所(NIH)ワクチン研究センター勤務。2009年からウイルス様粒子(VLP)を使ったチクングンヤ熱ワクチンを開発。2010年、同ワクチン研究成果を米科学誌Nature Medicineで報告、VLPが表紙を飾る*1。2012年、同ワクチン他3種類のアルファウイルスワクチン開発でNIH最高賞Director’s Award受賞。現在、VLP Therapeutics, Inc. CEO・創業者、VLP Therapeutics Japan株式会社 代表取締役・創業者・最高研究開発責任者、東京工科大学 客員教授、京都大学医学研究科 特任准教授、株式会社フェニクシー スペシャルフェロー。

  1. Wataru Akahata et al. A virus-like particle vaccine for epidemic Chikungunya virus protects nonhuman primates against infection. Nature Medicine 16, 334–338 (2010)
    https://www.nature.com/articles/nm.2105