【ニュースリリース】VLPTジャパン、BIKEN財団、デンカ、季節性インフルエンザに対するレプリコン(次世代mRNA)ワクチンの共同研究契約を締結

2023年9月27日|VLP Therapeutics Japan株式会社|一般財団法人阪大微生物病研究会|デンカ株式会社

VLP Therapeutics Japan株式会社(代表取締役:赤畑 渉、以下「VLPTジャパン」)、一般財団法人阪大微生物病研究会(理事長:米田 悦啓、以下「BIKEN財団」)、およびデンカ株式会社(代表取締役社長:今井 俊夫、以下「デンカ」)は、レプリコン(次世代mRNA)技術1を用いた季節性インフルエンザワクチン開発に関する共同研究契約を締結しました。

日本国内における例年のインフルエンザ患者数・受診者数は推定約1000万人、超過死亡率2からの推計によるインフルエンザやインフルエンザを起因とする肺炎による年間死亡者数は、約1万人とされています3。インフルエンザウイルスに含まれるHA抗原は変異を起こしやすく、毎年のようにインフルエンザが流行する理由の一つです。この季節性インフルエンザ予防のための基本対策の1つが、ワクチンによる予防接種です。
現在のインフルエンザワクチンは主に発育鶏卵培養4により製造されていますが、ワクチン製造には高品質の発育鶏卵が大量に必要とされ、製造期間も半年以上かかる等の課題があります。

VLPTジャパン、BIKEN財団、およびデンカは、本共同研究において、VLPTジャパンが保有するレプリコン技術を改良し、新たなインフルエンザワクチンの開発を目指すことに合意しました。レプリコン技術は、改変が容易で迅速に製造ができる従来のmRNA技術の利点を有するとともに、安全で、より少ない接種量で十分な効果を示し、免疫が長く持続するワクチンの創出に資することが期待されています。本共同研究では、2024年度中にワクチン試作品のマウスでの有効性・安全性評価と、予備安定性試験まで実施することを目指します。

VLPTジャパン、BIKEN財団、およびデンカは、この取り組みを通じて、ヘルスケア分野で社会に貢献し、人々のクオリティ・オブ・ライフ(QOL)向上を目指してまいります。

  1. レプリコン技術:少量の接種で十分な抗体が作られる、次世代型ワクチンの基盤技術。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する現行のmRNAワクチン技術と比べて10~100分の1程度の接種量となることから、短期間で日本国内全人口分の製造が可能となることと、副反応が低減されることが期待される。
  2. 超過死亡率:世界保健機関(WHO)が提唱する概念で、インフルエンザが流行したことによって、インフルエンザ・肺炎死亡がどの程度増加したかを示す推定値。
  3. 厚生労働省 公式ホームページ「新型インフルエンザに関するQ&A
  4. 発育鶏卵培養:発育鶏卵(鶏卵を 10~12 日間ふ卵したもの)にワクチン株を接種し、増殖してきたウイルスを精製・不活化させる培養方法。

共同研究の概要

  1. 共同研究目的: レプリコンRNA技術を用いた季節性インフルエンザワクチンの開発
  2. 共同研究範囲: ワクチンの設計・試作から試作品評価を経た臨床開発候補品の選定
  3. 共同研究における各役割
  • VLPTジャパン
    • ワクチンデザイン
    • ワクチン試作品の作製、BIKEN財団・デンカへの試作品提供
    • ワクチン試作品の物性(安定性を含む)評価、力価評価
  • BIKEN財団およびデンカ
    • ワクチン試作品の薬効薬理評価
    • ワクチン試作品の安全性評価

◆ VLPセラピューティクス・ジャパン(VLPTジャパン)について:VLP Therapeutics Japan株式会社は、2020年に、米国VLP Therapeutics, Inc.(VLPT)の100%子会社(当時)として設立されました。2023年現在、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)及び厚生労働省の支援により、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)等に対するワクチンを国内数機関と共同研究開発中です。VLPT(本社:米国メリーランド州ゲイサーズバーグ、CEO:赤畑 渉)は2013年、世界の「満たされていないメディカル・ニーズ」に応え、従来のワクチン療法を一変する革新的な治療法を開発するため、赤畑渉が上野隆司博士、久能祐子博士らと設立しました。2023年現在、がんに対する治療ワクチンと、マラリア、デング熱等感染症に対する予防ワクチンの研究開発を進めています。

一般財団法人阪大微生物病研究会(BIKEN財団)について:BIKEN財団は、ワクチンの研究・開発と生産・供給を担う、バイオ・スペシャリティー・ファーマです。1934年の設立以来、社会の要請に応え、数多くの日本初となるワクチンの開発、生産、供給を行うとともに、先進的な臨床検査サービスを提供し、公衆衛生に貢献してまいりました。BIKEN財団はこれからも「優れたワクチンを通じて、世界中の人々の大切な命を守る。」というミッションの下、病の不安から解放された、すこやかな社会をめざし、高度なサイエンスと独自のバイオ技術の進歩を追求し続けます。

デンカ株式会社について:デンカ株式会社は、1915年の設立以来100年を越える歴史の中で、化学によるモノづくりを通じて社会に貢献し続ける総合化学メーカーです。2023~2030年度の8ヵ年を対象とする経営計画「Mission2030」において、「ICT & Energy」「Healthcare」「Sustainable Living」を注力分野と位置付けています。デンカはこれからも、「化学の力で世界をよりよくするスペシャリストになる」というパーパスのもと、世界に誇れる化学で人々の暮らしと社会に貢献し続けます。

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VLPセラピューティクス・ジャパンについて

VLP Therapeutics Japan株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:赤畑渉)は2020年、米国VLPセラピューティクスの100%子会社(当時)として設立されました。2024年現在、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)*1、AMED先進的研究開発戦略センター(SCARDA)*2 及び厚生労働省*3 の支援により、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)等に対するワクチンを、VLPセラピューティクス保有の自己増殖RNA(レプリコン)技術を用いて研究・開発中です。

  1. AMED事業名:令和2年度「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチン開発」(2次公募)/課題名「自己増殖RNAテクノロジーを用いたわが国における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチン開発」
    https://www.amed.go.jp/koubo/11/02/1102C_00002.html
  2. AMED SCARDA事業名:令和5年度 「ワクチン・新規モダリティ研究開発事業(一般公募)」/課題名「レプリコンプラットフォームテクノロジーを用いた今後出現する株を含めたユニバーサルコロナワクチン開発」
    https://www.amed.go.jp/koubo/21/02/2102C_00004.html
  3. 厚生労働省:ワクチン生産体制等緊急整備事業(第2次公募)採択結果
    https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_20482.html
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VLPセラピューティクスについて

VLP Therapeutics, Inc.(本社:米国メリーランド州ゲイサーズバーグ、CEO:赤畑渉)は2013年、世界の「満たされていないメディカル・ニーズ」に応え、従来のワクチン療法を一変する革新的な治療法を開発するため、赤畑渉が上野隆司博士、久能祐子博士らと設立しました。2024年現在、がんに対する治療ワクチンと、マラリア、デング熱、インフルエンザ等感染症に対する予防ワクチンの研究開発を進めています。

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赤畑渉(あかはたわたる)について

1997年、東京大学教養学部卒業、京都大学人間・環境学研究科入学。京都大学ウイルス研究所の速水正憲教授のもとHIVワクチンの研究開発に携わり、2002年に博士号取得。同年~2012年、米国立衛生研究所(NIH)ワクチン研究センター勤務。2009年からウイルス様粒子(VLP)を使ったチクングンヤ熱ワクチンを開発。2010年、同ワクチン研究成果を米科学誌Nature Medicineで報告、VLPが表紙を飾る*1。2012年、同ワクチン他3種類のアルファウイルスワクチン開発でNIH最高賞Director’s Award受賞。現在、VLP Therapeutics, Inc. CEO・創業者、VLP Therapeutics Japan株式会社 代表取締役・創業者・最高研究開発責任者、東京工科大学 客員教授、京都大学医学研究科 特任准教授、株式会社フェニクシー スペシャルフェロー。

  1. Wataru Akahata et al. A virus-like particle vaccine for epidemic Chikungunya virus protects nonhuman primates against infection. Nature Medicine 16, 334–338 (2010)
    https://www.nature.com/articles/nm.2105