【ニュースリリース】がん治療第1相臨床試験をスタンフォード大学医学部と開始:ウイルスレプリコン粒子(VRP)技術を用いたがん免疫療法の創出に期待

2025年8月27日|VLP Therapeutics, Inc.

 
VLP Therapeutics, Inc.(VLPセラピューティクス、米国メリーランド州、CEO:赤畑渉、以下「VLPT」)は、VLPT開発のがん免疫療法(VLPONC-01)の第1相臨床試験(治験)を、米国スタンフォード大学医学部と開始しました。本治験(NCT06736379)は、この新規がん免疫療法の安全性とVLPONC-01の適切な用量を評価することを主な目的として、スタンフォード大学病院で実施中です。

VLPONC-01は、VLPT保有のウイルスレプリコン粒子(VRP)技術(ウイルス様粒子とレプリコンを掛け合わせた新たな技術)を用い、腫瘍微小環境の免疫応答を活性化する新しいがん免疫療法です。

本治験のリード研究者を務める、スタンフォード大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科のFred M Baik医師は「VLPTが研究開発した新しいがん免疫療法に基づく治験をリードできることを、頭頚部外科医として嬉しく思います。この治験をとおして、米国だけで年間約7万人、全世界で約90万人と推定される頭頸部がん患者の治療の前進に寄与したいと考えています」としています。

本治験の共同代表者を務める、スタンフォード大学医学部放射線腫瘍科長のQuynh-Thu Le医師・教授は「頭頸部がんにおいて、新たな免疫標的を活用した、より迅速で効果的な免疫療法のストラテジーが喫緊に求められています。VLPセラピューティクスと行うこの治験は、腫瘍微小環境に作用し、十分な変化を誘導するVRPの能力を活かしたもので、まさに今求められているそうした一つのアプローチであると考えています」としています。

VLPT共同創業者・CEOの赤畑渉博士は「この治験を開始できたことは、新たながん免疫療法の創出に向けた重要な一歩と捉えています。この分野を牽引するBaik医師とLe医師らの協力を仰ぐことができたのも非常に光栄に思います。切迫した医療ニーズを抱える世界のがん患者さんたちに1日でも早く新たな治療選択肢を届けられるよう、VLPTとスタンフォード双方の強みを活かし、取り組んでいきます」としています。

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VLPセラピューティクス・ジャパンについて

VLP Therapeutics Japan株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:赤畑渉)は2020年、米国VLPセラピューティクスの100%子会社(当時)として設立されました。2024年現在、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)*1、AMED先進的研究開発戦略センター(SCARDA)*2 及び厚生労働省*3 の支援により、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)等に対するワクチンを、VLPセラピューティクス保有の自己増殖RNA(レプリコン)技術を用いて研究・開発中です。

  1. AMED事業名:令和2年度「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチン開発」(2次公募)/課題名「自己増殖RNAテクノロジーを用いたわが国における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチン開発」
    https://www.amed.go.jp/koubo/11/02/1102C_00002.html
  2. AMED SCARDA事業名:令和5年度 「ワクチン・新規モダリティ研究開発事業(一般公募)」/課題名「レプリコンプラットフォームテクノロジーを用いた今後出現する株を含めたユニバーサルコロナワクチン開発」
    https://www.amed.go.jp/koubo/21/02/2102C_00004.html
  3. 厚生労働省:ワクチン生産体制等緊急整備事業(第2次公募)採択結果
    https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_20482.html
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VLPセラピューティクスについて

VLP Therapeutics, Inc.(本社:米国メリーランド州ゲイサーズバーグ、CEO:赤畑渉)は2013年、世界の「満たされていないメディカル・ニーズ」に応え、従来のワクチン療法を一変する革新的な治療法を開発するため、赤畑渉が上野隆司博士、久能祐子博士らと設立しました。2024年現在、がんに対する治療ワクチンと、マラリア、デング熱、インフルエンザ等感染症に対する予防ワクチンの研究開発を進めています。

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赤畑渉(あかはたわたる)について

1997年、東京大学教養学部卒業、京都大学人間・環境学研究科入学。京都大学ウイルス研究所の速水正憲教授のもとHIVワクチンの研究開発に携わり、2002年に博士号取得。同年~2012年、米国立衛生研究所(NIH)ワクチン研究センター勤務。2009年からウイルス様粒子(VLP)を使ったチクングンヤ熱ワクチンを開発。2010年、同ワクチン研究成果を米科学誌Nature Medicineで報告、VLPが表紙を飾る*1。2012年、同ワクチン他3種類のアルファウイルスワクチン開発でNIH最高賞Director’s Award受賞。現在、VLP Therapeutics, Inc. CEO・創業者、VLP Therapeutics Japan株式会社 代表取締役・創業者・最高研究開発責任者、東京工科大学 客員教授、京都大学医学研究科 特任准教授、株式会社フェニクシー スペシャルフェロー。

  1. Wataru Akahata et al. A virus-like particle vaccine for epidemic Chikungunya virus protects nonhuman primates against infection. Nature Medicine 16, 334–338 (2010)
    https://www.nature.com/articles/nm.2105