【ニュースリリース】スウェーデンAIバイオ企業Nygen Analyticsとがん免疫療法研究で連携:個別化がん治療の予測モデル開発に向けて

2025年11月11日|VLP Therapeutics, Inc.

VLP Therapeutics, Inc.(VLPセラピューティクス、米国メリーランド州、CEO:赤畑渉、以下「VLPT」)は11月11日、スウェーデンAIバイオテック企業Nygen Analytics(ナイジェン・アナリティクス、以下「ナイジェン」)とがん免疫療法研究で連携することを発表1しました。本連携は、ナイジェンが個別化がん治療の予測モデル開発に向けてスウェーデン政府イノベーション庁Vinnovaから獲得した助成金(100万SEK、約1,600万円)によるプロジェクトの一環として行われます。

研究の概要・背景

ナイジェンとVLPTが共同で推進する本プロジェクトでは、非臨床試験で得られた当社のデータをナイジェンのAI技術により解析し、当社の癌免疫療法がどのような機序で抗腫瘍免疫を誘導しているのかを明らかにしてゆきます。これにより、今後のがん免疫療法の改良に向けた新たな知見が得られ、より効果的な免疫療法の開発が期待されます。

本研究は、VLPTと米国スタンフォード大学の共同研究チームが初期成果を報告した査読前論文(Momoko Ishikawa et al. bioRxiv)2から発展したものです。同研究では、ナイジェンのシングルセル解析技術が重要な免疫細胞動態の特定に貢献しました。その後、VLPTは独自のウイルスベクター技術を用いた薬物送達の第1相臨床試験(NCT06736379)3をスタンフォード大学医学部で開始しました。

VLPT 赤畑渉 CEO コメント

「ナイジェンとの協力は既にVLPT独自のウイルスレプリコン粒子(VRP)技術に有益な知見をもたらしており、現在のがん免疫療法の有効性を高める可能性を秘めています。この助成により、臨床で使用されるVLPTのがん免疫療法の理解を深め、より効果的な治療法の開発を加速することができると考えています。同時に、ナイジェンがシングルセルRNAシーケンシング分野の最先端研究を牽引することにも繋がります。このプロジェクトを通じて、国境を越えたAIがん免疫療法の実現に向けて前進することを期待しています」

関連リンク

  1. 2025/11/11 News release: “VLP Therapeutics Teams with Swedish AI Biotech Nygen Analytics on Vinnova-Funded Cancer Immunotherapy Research Swedish-US partnership to develop predictive models that could transform personalized cancer treatment selection” [VLPT | Nygen Analytics]
  2. bioRxiv査読前論文
    • 論文名: Alphavirus replicon particle expressing IL-12 reprograms tumor-associated macrophages and neutrophils and induces anti-tumor immunity
    • 著者: Momoko Ishikawa, Dhanya K Nambiar, Jaya Sastri, Forrest Bowling, Keiko Ishimoto, Fumiya Tao, Koyo Takahashi, Ivan Stephanek, Hongbin Cao, Davis Leitner, Kenta Matsuda, Fred M Balk, John B Sunwoo, Quynh-Thu Le, Jonathan F Smith, Wataru Akahata*(*責任著者)
    • 公開日: 2025/8/11
    • URL: https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2025.08.07.666585v1
  3. 2025/8/27 ニュースリリース「がん治療第1相臨床試験をスタンフォード大学医学部と開始:ウイルスレプリコン粒子(VRP)技術を用いたがん免疫療法の創出に期待

プレスリリースPDF

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VLPセラピューティクス・ジャパンについて

VLP Therapeutics Japan株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:赤畑渉)は2020年、米国VLPセラピューティクスの100%子会社(当時)として設立されました。2024年現在、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)*1、AMED先進的研究開発戦略センター(SCARDA)*2 及び厚生労働省*3 の支援により、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)等に対するワクチンを、VLPセラピューティクス保有の自己増殖RNA(レプリコン)技術を用いて研究・開発中です。

  1. AMED事業名:令和2年度「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチン開発」(2次公募)/課題名「自己増殖RNAテクノロジーを用いたわが国における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチン開発」
    https://www.amed.go.jp/koubo/11/02/1102C_00002.html
  2. AMED SCARDA事業名:令和5年度 「ワクチン・新規モダリティ研究開発事業(一般公募)」/課題名「レプリコンプラットフォームテクノロジーを用いた今後出現する株を含めたユニバーサルコロナワクチン開発」
    https://www.amed.go.jp/koubo/21/02/2102C_00004.html
  3. 厚生労働省:ワクチン生産体制等緊急整備事業(第2次公募)採択結果
    https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_20482.html
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VLPセラピューティクスについて

VLP Therapeutics, Inc.(本社:米国メリーランド州ゲイサーズバーグ、CEO:赤畑渉)は2013年、世界の「満たされていないメディカル・ニーズ」に応え、従来のワクチン療法を一変する革新的な治療法を開発するため、赤畑渉が上野隆司博士、久能祐子博士らと設立しました。2024年現在、がんに対する治療ワクチンと、マラリア、デング熱、インフルエンザ等感染症に対する予防ワクチンの研究開発を進めています。

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赤畑渉(あかはたわたる)について

1997年、東京大学教養学部卒業、京都大学人間・環境学研究科入学。京都大学ウイルス研究所の速水正憲教授のもとHIVワクチンの研究開発に携わり、2002年に博士号取得。同年~2012年、米国立衛生研究所(NIH)ワクチン研究センター勤務。2009年からウイルス様粒子(VLP)を使ったチクングンヤ熱ワクチンを開発。2010年、同ワクチン研究成果を米科学誌Nature Medicineで報告、VLPが表紙を飾る*1。2012年、同ワクチン他3種類のアルファウイルスワクチン開発でNIH最高賞Director’s Award受賞。現在、VLP Therapeutics, Inc. CEO・創業者、VLP Therapeutics Japan株式会社 代表取締役・創業者・最高研究開発責任者、東京工科大学 客員教授、京都大学医学研究科 特任准教授、株式会社フェニクシー スペシャルフェロー。

  1. Wataru Akahata et al. A virus-like particle vaccine for epidemic Chikungunya virus protects nonhuman primates against infection. Nature Medicine 16, 334–338 (2010)
    https://www.nature.com/articles/nm.2105