【ニュースリリース】新型コロナウイルス感染症のT細胞誘導型ワクチン第1相臨床試験を開始:変異株に左右されにくいユニバーサルワクチンの開発に向けて

VLP Therapeutics Japan 株式会社(東京都港区、代表取締役:赤畑渉、以下「VLPTジャパン」又は「当社」)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン(VLPCOV-U-01)の日本国内第1相臨床試験(治験)を開始しました。VLPCOV-U-01は、COVID-19の発症及び重症化の予防を目的とした、新規のT細胞1誘導型mRNAワクチンです。

既承認mRNAワクチンは、ウイルスに結合し無力化する中和抗体を作る「液性免疫」に基づいています(図1)。体内でウイルスのスパイクタンパク質2を発現させ、それを抗原として中和抗体を誘導します。ウイルスはスパイクタンパク質の構造を変える変異を繰り返すため、抗体の効果もそれに伴い減弱することが報告されています。

一方、VLPCOV-U-01は、ウイルスに感染した細胞を排除する「細胞性免疫」に基づいています(図1)。スパイクタンパク質部分のT細胞エピトープに加えて、スパイクタンパク質以外の領域を抗原とするT細胞エピトープ3をワクチンとして用いることで、ウイルスに感染した細胞を攻撃するキラーT細胞4を誘導し、ウイルスを排除する働きが期待されます。また、VLPCOV-U-01は、日本人の95%以上をカバーするHLA型5に対応できるようにしており、ウイルスの株間で保存される(変異しにくい)領域を標的とするT細胞誘導型ワクチンであることが特徴です。そのため変異株に対しても効果を維持しやすくなる可能性があります。

本試験(jRCT2051250250)では、既承認のCOVID-19ワクチンによる初回免疫完了後にオミクロン株対応ワクチンの追加接種を受けた健康成人を対象に、VLPCOV-U-01を接種した際の安全性及び忍容性を評価します。日本国内の医療機関で実施する用量漸増、無作為化、プラセボ対照、オブザーバーブラインド試験となります。

VLPTジャパンは国内数機関と協力して、当社保有のレプリコン(次世代mRNA)6基盤技術を用いたCOVID-19ワクチンの研究開発を進めてきました。本試験はこれまでの成果・治験結果7を踏まえ、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)先進的研究開発戦略センター(SCARDA)の支援8のもと実施するものです。当社は本研究を通じて、変異株に左右されにくい「ユニバーサルワクチン」の開発を目指します。

用語説明・関連リンク

  1. T細胞:ウイルスに感染した細胞を見つけて排除する免疫細胞
  2. スパイクタンパク質:ウイルスが細胞に侵入する際に使う突起状のタンパク質
  3. T細胞エピトープ:ウイルスの一部が免疫細胞(T細胞)に認識される「目印」となる部分
  4. キラーT細胞:ウイルスに感染した細胞を攻撃・排除する免疫細胞
  5. HLA型:免疫細胞(T細胞)が抗原を認識する際に関与する遺伝的な型
  6. レプリコン(次世代mRNA):少量の接種で十分な抗体が作られる、次世代型ワクチンの基盤技術。現行のmRNAワクチン技術と比べて10~100分の1程度の接種量となることから、同じ量のmRNAで比較した場合は多くの接種回数分のmRNAの製造が可能となることと、副反応が低減されることが期待される。
  7. 論文発表した研究成果・治験結果:
    • 2026/2/2 ニュースリリース:新型コロナウイルス変異株レプリコン(次世代mRNA)ワクチン追加接種治験で5mC修飾により低用量・高免疫原性・良好な安全性を確認[iScience 論文]
    • 2025/11/13 ニュースリリース:レプリコン(次世代mRNA)ワクチンの副反応を軽減する新技術を開発:5-メチルシチジン修飾で自然免疫応答を制御し、安全性の向上に寄与[Science Translational Medicine 論文]
    • 2024/1/23 ニュースリリース:新型コロナウイルス変異株レプリコン(次世代mRNA)ワクチン追加接種第1/2相臨床試験で安全性と有効性の改善を確認[iScience 論文]
    • 2023/8/16 ニュースリリース「新型コロナウイルス感染症レプリコン(次世代mRNA)ワクチン追加接種第1相臨床試験で低用量での高い抗原性と抗体価の持続性を確認:今後の追加接種に使える国産ワクチンの基盤技術として期待[Cell Reports Medicine 論文]」
    • 2023/5/19 ニュースリリース「細胞膜表面にRBDを発現するレプリコン(次世代mRNA)ワクチンで新型コロナウイルス感染症(COVID-19)変異株に広範・持続的な免疫の誘導に成功:他のパンデミック病原性ウイルスに対する基盤技術としての応用にも期待[Nature Communications 論文]」
  1. 事業名「ワクチン・新規モダリティ研究開発事業」/研究開発課題名「レプリコンプラットフォームテクノロジーを用いた今後出現する株を含めたユニバーサルコロナワクチン開発」
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VLPセラピューティクス・ジャパンについて

VLP Therapeutics Japan株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:赤畑渉)は2020年、米国VLPセラピューティクスの100%子会社(当時)として設立されました。2024年現在、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)*1、AMED先進的研究開発戦略センター(SCARDA)*2 及び厚生労働省*3 の支援により、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)等に対するワクチンを、VLPセラピューティクス保有の自己増殖RNA(レプリコン)技術を用いて研究・開発中です。

  1. AMED事業名:令和2年度「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチン開発」(2次公募)/課題名「自己増殖RNAテクノロジーを用いたわが国における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチン開発」
    https://www.amed.go.jp/koubo/11/02/1102C_00002.html
  2. AMED SCARDA事業名:令和5年度 「ワクチン・新規モダリティ研究開発事業(一般公募)」/課題名「レプリコンプラットフォームテクノロジーを用いた今後出現する株を含めたユニバーサルコロナワクチン開発」
    https://www.amed.go.jp/koubo/21/02/2102C_00004.html
  3. 厚生労働省:ワクチン生産体制等緊急整備事業(第2次公募)採択結果
    https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_20482.html
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VLPセラピューティクスについて

VLP Therapeutics, Inc.(本社:米国メリーランド州ゲイサーズバーグ、CEO:赤畑渉)は2013年、世界の「満たされていないメディカル・ニーズ」に応え、従来のワクチン療法を一変する革新的な治療法を開発するため、赤畑渉が上野隆司博士、久能祐子博士らと設立しました。2024年現在、がんに対する治療ワクチンと、マラリア、デング熱、インフルエンザ等感染症に対する予防ワクチンの研究開発を進めています。

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赤畑渉(あかはたわたる)について

1997年、東京大学教養学部卒業、京都大学人間・環境学研究科入学。京都大学ウイルス研究所の速水正憲教授のもとHIVワクチンの研究開発に携わり、2002年に博士号取得。同年~2012年、米国立衛生研究所(NIH)ワクチン研究センター勤務。2009年からウイルス様粒子(VLP)を使ったチクングンヤ熱ワクチンを開発。2010年、同ワクチン研究成果を米科学誌Nature Medicineで報告、VLPが表紙を飾る*1。2012年、同ワクチン他3種類のアルファウイルスワクチン開発でNIH最高賞Director’s Award受賞。現在、VLP Therapeutics, Inc. CEO・創業者、VLP Therapeutics Japan株式会社 代表取締役・創業者・最高研究開発責任者、東京工科大学 客員教授、京都大学医学研究科 特任准教授、株式会社フェニクシー スペシャルフェロー。

  1. Wataru Akahata et al. A virus-like particle vaccine for epidemic Chikungunya virus protects nonhuman primates against infection. Nature Medicine 16, 334–338 (2010)
    https://www.nature.com/articles/nm.2105